OEM/ODM

取扱原料
取扱原料

製品コンセプトのご相談から試作・量産・納品までをワンストップで対応。
医薬品製造で培ったノウハウを活かし、短納期・小ロットから大規模生産まで柔軟に対応いたします。

Ingredients

Simonkolleite

シモンコライト

シモンコライト(化学式:Zn5​(OH)8​Cl2​⋅H2​O)は、亜鉛を主成分とする塩化水酸化亜鉛水和物で、自然界に鉱物として産出するほか、人工的にも合成される層状化合物です。その独自の結晶構造と物理化学的性質により、多岐にわたる産業分野で注目を集めています。
最大の特徴は、層状複水酸化物(LDH)に類似した構造にあります1。これは、原子が積み重なってできた極薄のシートが、何層にも重なった構造であり、層間に薬剤や機能性成分などの物質を取り込んで保持し、必要に応じてゆっくりと放出させることが可能です。この性質は、ドラッグデリバリーシステムや徐放性医薬品、高効率な動物用飼料などへの応用が研究されています2-4。

シモンコライト

また、シモンコライトは薄い六角板状の粒子という特徴的な形状を持ちます1。この形状は、塗料やコーティング剤への配合時に優れた被覆性を示したり、樹脂に混ぜ込むことで材料の強度を高める充填材(フィラー)として機能したりする上で有利に働くと考えられます。さらに、シモンコライトは熱を加えることで高性能な酸化亜鉛(ZnO)ナノシートへと転化するため1,5、光触媒やセンサー、電子デバイスといった先端技術分野の基盤材料としても重要です。
このように、シモンコライトはそのユニークな特性から、次世代の製品開発に大きな可能性を提供するマテリアルです。

期待される効果効能

1.ヘルスケア・美容・衛生分野における効果

皮膚・頭皮環境の改善と再生促進シモンコライトは、皮膚の再生を促す効果が報告されています。ラットを用いた実験では、重度の皮膚創傷や褥瘡(床ずれ)に対して、優れた皮膚再生効果を示すことが報告されています。ある研究では、既存の医療用創傷被覆材と比較して、上皮と皮下組織の正常皮膚に近い形での再生を促進する可能性が示されました3,6。この作用は、シモンコライトから徐々に放出される亜鉛イオンが、皮膚再生に関わる酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ)の働きを助けることによると考えられています。

シモンコライト

この皮膚再生能力は、特に育毛・頭皮ケアの分野で大きな可能性を秘めています。シモンコライトは、毛髪が生える「土台」そのものを再生する可能性があり3、頭皮の細胞外マトリックスを再構築したり、幹細胞が毛包細胞へと分化するのを促したりする作用が期待されています。これにより、従来の育毛剤とは異なるアプローチで、薄毛の進行予防や頭皮環境の根本的な改善に貢献できる可能性があります。テイカ製薬株式会社におけるラット髭毛包を用いた研究7では、医薬品の育毛有効成分であるミノキシジルと同一条件下で比較した結果、シモンコライトの高い毛包活性化作用が確認されました(図1)※。

優れた消臭機能シモンコライトは、硫黄系(硫化水素など)、窒素系(アンモニアなど)、酸性系(イソ吉草酸など)の悪臭成分に対して、活性炭と同等以上の高い消臭効果を発揮することが報告されています8。そのメカニズムとしては、まず、層状構造の層間に悪臭成分を物理的に取り込み、次に、層間に存在する亜鉛イオンが悪臭成分を中和し、揮発しにくい安定化形態に変化させることで悪臭を無力化すると考えられています。一度吸着した悪臭の再放出がほとんどないことも確認されています8。

シモンコライト

幅広い抗菌・抗真菌作用衛生管理が重要視される現代において、シモンコライトの抗菌・抗真菌作用は非常に有用です。黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌に対して抗菌作用を示すだけでなく、特定の真菌に対しても増殖抑制作用が報告されています。特に、テイカ製薬株式会社における研究では、頭皮のフケやかゆみ、抜け毛の一因とされるマラセチア属真菌やコリネバクテリウム属細菌の増殖を、非常に低い濃度で強く抑制することが示されており(表1)9、頭皮トラブルの予防に有効であることが期待されています。この抗菌性は、皮膚の健康維持だけでなく、ニオイの原因菌の活動を抑えることによる防臭効果にも繋がります。

2. 工業材料分野における効果

樹脂・高分子材料の機能強化 シモンコライトの薄い六角板状の粒子形状は、樹脂やポリマーといった高分子材料のフィラーとして添加することで、材料全体の機械的特性を向上させる可能性があります。一般的に、樹脂に板状や繊維状のフィラーを配合すると、複合材料の弾性率(硬さ)や引張強度、耐衝撃性などが向上することが知られています10。シモンコライトをフィラーとして活用することで、既存のプラスチック製品の軽量化と高強度化を両立させるなど、新たな高機能複合材料(コンポジット材料)の開発が期待されます。

触媒・吸着材としての機能 シモンコライトは、その層状構造に由来する広い比表面積を持つため、化学反応を促進する触媒や、特定の物質を選択的に吸着する材料として優れた潜在能力を持っています11,12。実際に、窒素をドープしたシモンコライトが、可視光に応答して汚染物質を分解する光触媒として高い性能を示すことが報告されています13。この特性は、環境浄化や化学品製造プロセスの効率化などへの応用が期待されます。

3. 農業・畜産分野における効果

動物栄養における高い付加価値 シモンコライトは、動物にとって必須の微量元素である亜鉛を供給するための飼料添加物として、高い特性を持っています。水に不溶で吸湿性がないため、飼料中で固まりにくく、他の成分との反応性も低いため品質が安定します。
シモンコライトは、胃酸下で徐々に亜鉛を溶出し始め、小腸で効率的に吸収されると考えられています14。また、従来の酸化亜鉛(飼料グレード)に比べて亜鉛の生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)が2〜3倍高く、より効率的に栄養を供給できることが報告されています15。さらに、抗菌作用も併せ持つため、家畜の腸内環境の健康維持にも貢献することが示唆されています4。

安全性

1. シモンコライトの基本的な安全性

シモンコライトは化学的に「塩基性塩化亜鉛」とも呼ばれ、水に溶けにくい性質を持っています 。この「水に不溶」という特性が、高い安全性の基盤となっています。シモンコライトは安定した固体であるため、他の成分との反応性が低く、取り扱いが容易です15。
欧州食品安全機関(EFSA)の評価においては、安全であると結論付けられ、EU域内で家畜用の飼料添加物として承認されています16,17。 

2. 各種安全性試験による評価

シモンコライトの安全性は、国際的な基準に則った様々な試験によって科学的に検証されています。

皮膚に対する安全性(刺激性・アレルギー性) EFSAの評価では、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギーを引き起こす性質)はないと結論付けられています17。
また、動物実験においてもその安全性は裏付けられています。ラットの皮膚を用いた創傷治癒の研究では、シモンコライトは炎症反応を引き起こすことなく、むしろ正常な皮膚に近い組織の再生を促す効果が確認されました3,6。さらに、シモンコライトを配合した化粧品では、ヒトの皮膚に対する刺激性を確認する「ヒトパッチテスト」が実施され、安全性が確認されています18。

眼に対する刺激性 粉末状の物質を扱う際には、眼への物理的な刺激が懸念されます。EFSAは、飼料添加物としてシモンコライトを取り扱う作業者の安全を考慮し、眼刺激性を有する可能性があると評価しています17。これは、シモンコライトが化学的に眼の組織を腐食・損傷させるという意味ではなく、粉末が眼に入った場合に砂やほこりと同様の物理的な刺激となりうることを示しています。したがって、製造現場などで粉末として取り扱う際には、他の粉体原料と同様に保護メガネを着用することが推奨されます。

経口摂取および吸入に関する安全性 シモンコライトの主成分である亜鉛は、生物にとって必須のミネラルですが、あらゆる栄養素と同様に、過剰摂取は健康に影響を及ぼす可能性があります。シモンコライトは、動物用飼料として長年の使用実績があり、適切な摂取量であれば安全であることが確認されています17。
粉末の吸入に関しても、一般的な粉体原料と同様の注意が必要です。EFSAは、データが不十分であるとしつつも、吸入による暴露の可能性を指摘しています17。製造工程などで粉塵が発生する環境では、防塵マスクの着用など、適切な労働安全衛生管理が求められます。

総じて、シモンコライトは科学的に安全性と機能性の両立が確認された次世代素材であると言えます。
水に不溶で化学的に安定しているという基本特性に加え、皮膚への刺激性やアレルギー性が低いことから、特に化粧品や飼料といった分野で安心して利用できるマテリアルです。ただし、製造現場で粉末として取り扱う際には、一般的な化学物質と同様に、適切な保護具を着用し、安全管理を徹底することが重要です。

参考資料

  • Qu, S.; Hadjittofis, E.; Malaret, F.; Hallett, J.; Smith, R.; Campbell, K.S. Nanoscale Adv., 2023, DOI:10.1039/D3NA00108C
  • Nabipour, H.; Sadr, M.H. Bull. Mater. Sci., 2015;38(6), 1561
  • Yamamoto, O.; Nagashima, M.; Nakata, Y.; Udagawa, E. Bioengineering, 2023;10, 375
  • Nguyen, H.T.T.; Morgan, N.; Roberts, J.R.; Wu, S.-B.; Swick, R.A.; Toghyani, M. Poultry Sci., 2021;100, 101254
  • Moezzi, A.; Cortie, M.; McDonagh, A. Dalton Trans., 2016;45, 7385
  • 宇田川悦郎;越前谷木綿子;三浦ちさき;中田圭美;山本修 WO 2016/199905
  • 山川哲規;松本さおり;松井祐史;久保哲史;志賀拓郎 WO 2023/074523
  • 美島佳織;橋本恭邦 特開2022-190968
  • 野村伸彦;山川哲規;松井祐史 WO 2024/224747
  • Gayretli, B.; Shanthar, R.; Opoz, T.T.; Abeykoon, C. Int. J. Lightweight Mater. Manuf., 2024;7, 572
  • Abdel Moniem, S.M.; Ali, M.E.M.; Gad-Allah, T.A.; Khalil, A.S.G.; Ulbricht, M.; El-Shahat, M.F.; Ashmawy, A.M.; Ibrahim, H.S. Process Saf. Environ. Prot., 2015;95, 247
  • Cursino, A.C.T.; Rives, V.; Carlos, L.D.; Rocha, J.; Wypych, F. J. Braz. Chem. Soc., 2015;26(9), 176
  • He, J.; Hu, J.; Mo, X.; Hao, Q.; Fan, Z.; He, G.; Wang, Y.; Li, W.; He, Q. Appl. Phys. A, 2019;125(3), https://doi.org/10.1007/s00339-018-2275-0
  • Advantage Edge, Get The Science, Smart Minerals, https://www.advantageedge.com/science-behind-advantage-edge/smart-minerals/(アクセス日:2025/10/10)
  • Cao, J.; Henry, P.R.; Ammerman, C.B.; Miles, R.D.; Littell, R.C. J. Appl. Poultry Res., 2000;9, 513
  • EFSA Panel on Additives and Products or Substances used in Animal Feed (FEEDAP) EFSA Journal 2012;10(5), 2672
  • EFSA Panel on Additives and Products or Substances used in Animal Feed (FEEDAP), Bampidis, V.; Azimonti, G.; Bastos, M.L.; Christensen, H.; Dusemund, B.; Durjava, M.; Kouba, M.; Lopez-Alonso, M.; Puente, S.L.; Marcon, F.; Mayo, B.; Pechova, A.; Petkova, M.; Ramos, F.; Villa, R.E.; Woutersen, R.; Bories, G.; Gropp, J.; Galobart, J.; Holczknecht, O.; Innocenti, M.L.; Ortuno, J.; Pizzo, F.; Rossi, B.; Tarres-Call, J.; Vettori, M.V.; Radovnikovic, A. EFSA Journal 2023;21, e8458
  • be Answer®, Product, https://beanswer.jp/shop/pages/product-essence(アクセス日:2025/10/10)
Patent

Patent

世の中に少しでも早く、より有効な薬を届けるために、経営資源を積極的に集中し、医療用医薬品の新薬開発に取り組んでいます。基礎研究から発売まで10年以上を要する新薬づくり。研究・開発プロセスにおける作業の効率化、高品質化を加速させながら、医療ニーズに応える製品づくりに取り組んでいます。

工場

Flow

製品企画から試作、製造、納品までを一貫してサポートいたします。
初めてのOEM(ODM)でも安心してご依頼いただけるよう、専任スタッフが丁寧に対応いたします。

    会社名

    ご担当者様名

    電話番号※どちらか必須

    メールアドレス※どちらか必須

    備考欄