Effect&Efficacy

サラブレッドに亜鉛サプリは必要か?

2025.07.28

 

──ミネラル補給の最前線とシモンコライトの可能性 

勝つ馬は、体が違う

サラブレッドは、「走るためだけに生まれた馬」と言われるほど、競走という機能に特化した生き物です。その 洗練された肢体、驚異的なスピード、そしてきめ細かな気質は、人間の管理と選抜の中で何世代にもわ たって作り上げられてきました。 

1 レース、わずか 2 分。そのわずかな時間のために、彼らは年間を通して調教とレースを繰り返します。筋力・持久力・心肺能力・反応速度……それらを極限まで高める必要があるだけでなく、皮膚や被毛のコ ンディション、消化吸収の効率、精神面の安定性までもがパフォーマンスを左右するのです。 こうした過酷な環境に置かれるサラブレッドたちにとって、栄養管理は“走るための土台”であり、“壊れない 体を作るための設計図”とも言えます。 

カロリーやタンパク質だけでなく、ミネラル、ビタミン、脂質のバランスまでもが、走行能力やケガの予防、回 復力に直結していることは、すでに世界中の調教師や獣医師の間で常識となりつつあります。 なかでも近年、特に重要視されているのが、「微量ミネラル」――つまり、ごく微量でありながら体内で非常 に重要な役割を果たす元素群です。その代表格が、「亜鉛(Zinc)」です。 

亜鉛は、サラブレッドの身体において、以下のような多面的な役割を果たしています:
・皮膚・被毛・蹄など角化組織の形成と維持 

・酵素の構造安定性と活性の調整 

・免疫系の正常化と感染防御 

・傷の治癒や筋肉・腱の修復促進 

・精神的ストレスの緩和や食欲の維持 

特に、ハードな運動とストレスの連続で消耗しやすい競走馬では、これらの機能を支える亜鉛の必要量が 通常よりも高くなることが知られています。 

ところが、競走馬の現場では―― 

「毛ヅヤが悪い」 

「蹄が割れやすくなった」 

「皮膚病が治りづらい」 

「なんとなく覇気がない」 

こうした“なんとなく調子が悪い”状態が、実は慢性的な亜鉛不足のサインであることに気づかないまま過ご しているケースも少なくありません。 

本記事では、そんな“見えない栄養失調”である亜鉛欠乏とサラブレッドのパフォーマンスとの関係をひもと きながら、今後注目されるべき新しい亜鉛補給の選択肢「シモンコライト」の可能性についても掘り下げ ていきます。 

“勝つ馬”とは、生まれつきの資質だけではありません。微細な栄養バランスに気を配るかどうかが、勝敗を 分ける要因になりつつある―― 

それが、いま競馬界で起きている「ミネラル革命」の現実なのです。

サラブレッドにおける亜鉛の役割

── パフォーマンスと健康を支える“縁の下の力持ち” 

亜鉛(Zinc)は、サラブレッドをはじめとする馬にとって「微量ミネラル」に分類されますが、その役割は決 して“微細”なものではありません。むしろ、全身の生理機能を根本から支える極めて重要な栄養素であ り、不足すれば明確にパフォーマンスが落ちる「隠れたボトルネック」となります。 

全身の酵素活性を支える“触媒ミネラル” 

亜鉛は、300 種類以上の酵素系の構成要素または活性因子として知られており、特に以下の代謝系 で重要な働きをしています: 

DNA 合成や細胞分裂に関与(成長と組織修復の促進) 
抗酸化酵素の活性化(酸化ストレスの軽減) 
インスリン作用の補助(糖代謝の最適化) 

これらの働きは、激しい運動を日常的に行うサラブレッドの身体にとって欠かせません。亜鉛は、ありとあら ゆる場所でその存在感を発揮しています。具体的には、関節、骨、神経、そして免疫系を含め、様々な 箇所で重要な役割を担っています。 

● 蹄と皮膚・被毛の健康維持に不可欠 

競走馬にとって、“蹄”の健康は生命線です。蹄が割れたり、変形したりすれば、たとえ能力があっても競 技に出ることはできません。蹄はケラチンというタンパク質でできており、その合成には亜鉛が必須です。 また、被毛のツヤや皮膚のバリア機能を保つ上でも、亜鉛は欠かせません。次のような現象が見られる場 合、亜鉛不足の兆候とされます:

被毛が粗くなる、光沢が失われる 

皮膚炎やフケが出やすい 

傷や擦過傷が治りにくい 

蹄がもろく、裂蹄(れっとう)しやすい 

これらは一見些細な変化に見えますが、サラブレッドの競走生命を脅かす“はじまり”にもなりかねません。 

● 免疫力と回復力の強化 

亜鉛は、免疫細胞(特に T 細胞や好中球)の活性化を通じて感染症への抵抗力を高める効果があ ることが知られています。また、筋肉や靱帯、関節などの微小損傷の修復をサポートし、疲労回復や調教 後の回復力を向上させる働きも報告されています。 

調教や遠征、レースの連戦が続くと、免疫系が弱体化し感染症や炎症を起こしやすくなります。こうした 感染症や炎症の影響を軽減する上で、亜鉛は非常に心強い味方となります。 

● 精神面・食欲への影響も 

見落とされがちですが、亜鉛は神経伝達(神経学的機能)にも関与しており、過敏さ、不安、食欲不 振などの精神的ストレス反応を緩和する可能性があることが近年注目されています。 特に競走馬の中には神経質な性格や輸送時のストレスに敏感な個体も多く、そうした馬に対しては、身 体だけでなく心の健康を支える栄養素としての亜鉛の価値が見直されています。
 

● 繁殖能力の維持にも関与 

繁殖用の種牡馬や繁殖牝馬にとっても、亜鉛は重要です。 

亜鉛が、精子の形成や卵巣機能の維持、胎児の正常発育に不可欠であることは人間と同様であり、生 殖補助飼料における亜鉛強化の必要性が国際的にも提言されています。
 

総括:微量だけど、影響は絶大 

このように、亜鉛は“縁の下の力持ち”という言葉では足りないほど多様な役割を担っています。 特に、厳しい環境下でトレーニングとレースを繰り返すサラブレッドにおいては、その必要性は通常の馬の 比ではありません。

なぜ現代の競走馬は亜鉛不足になりやすいのか? 

── 進化した管理の“落とし穴” 

現代のサラブレッドは、最先端の飼料・飼養管理・トレーニング技術によって育てられています。一見すると 栄養も環境も整い、健康に不足はないように思えるかもしれません。 

しかし、実はその「完璧に整った環境」の裏側で、“静かに進行する栄養の偏り”が問題となってきていま す。 

とりわけ微量ミネラルの一つである亜鉛は、意識的に補わなければ不足しやすい栄養素であることが、複 数の飼養実態調査や血液検査から明らかになってきました。 

以下では、その主な理由を、順を追って解説します。 

● 飼料の「加工・精製」によるミネラル損失 

現在、多くの競走馬はペレット化や粉末化された配合飼料を摂取しています。これらは栄養設計のしや すさ、消化性、保存性の面では優れている一方で、飼料の加工工程におけるビタミンやミネラルの熱劣化 や流亡リスクが指摘されています。 

さらに、配合飼料の中に、ミネラル吸収を妨げる成分(「フィチン酸」などのキレート剤)が残存している と、亜鉛、鉄、カルシウムなどの小腸内での吸収率が低下します。 

● 集約的トレーニングと発汗によるミネラル喪失 

競走馬のトレーニングは過酷です。日々の運動で大量の汗をかき、その汗とともに電解質やミネラルも失 われていきます。 

実際、馬の汗は人間よりもナトリウムと塩化物が多く、汗には大量のミネラルが含まれていることが分かっています。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛などは汗によって失われるミネラルです。 特に調教の強度が高まるシーズンでは、運動により亜鉛の必要量が高くなることが知られています。 

● 鉄・銅との拮抗による吸収阻害 

亜鉛は、同じく必須ミネラルである鉄や銅と小腸で吸収競合を起こすことが知られています。 つまり、鉄や銅を多く含む飼料やサプリを与えていると、相対的に亜鉛の吸収率が下がってしまうのです。 これは特に、貧血対策や発情改善のために鉄分・銅分を意図的に強化している場合に顕著で、善意の 栄養管理が結果として“亜鉛欠乏”を招くという矛盾が発生しています。 

● 投薬と腸内環境の関係 

競走馬の現場では、抗生物質や消炎鎮痛剤が日常的に使用されることも珍しくありません。 しかしこうした薬剤は、腸内環境のバランスを崩し、ミネラルの吸収効率を間接的に下げてしまうことがあり ます。特に亜鉛は腸からの吸収依存度が高く、腸管の炎症や吸収不全が起きていると、血中濃度が著 しく低下します。 

この点は、治療用の薬剤設計ではなく、「予防的な健康管理」の段階で注意すべきポイントです。 

● 個体差・年齢差による吸収効率の違い 

亜鉛の吸収効率は、馬によって異なります。特に以下のような個体では、同じ量を与えても吸収が追いつ かない可能性があります。 

高齢馬(腸粘膜の吸収力が低下) 

神経質な性格の馬(消化機能が乱れやすい) 

疾患歴のある馬(抗生物質使用歴がある) 

慢性的な軟便傾向のある馬(排泄亢進による損失) 

このように、“健康に見える”馬ほど、実は見逃されている栄養リスクが存在しているのです。 

総括:現代の馬は「環境的に亜鉛不足になりやすい」 

現在、多くの競走馬は、科学的にコントロールされた飼育管理のもとに育てられています。しかし、その一 方で、製造過程で本来の飼料原料に含まれる天然のミネラルが失われることが少なくありません。そして、 “本当に必要なものが足りない”という新たな問題が生まれています。 

特に亜鉛は、その存在の重要性に比して、きわめて見逃されやすい元素です。しかも、症状がじわじわ現 れるために、対応が遅れがちです。 

だからこそ、「足りているだろう」ではなく、「足りているかどうかを確認し、必要なら積極的に補う」という意識 が、これからの栄養管理では求められるのです。

海外で注目される「シモンコライト」の使用事例

── 天然鉱物から生まれた、亜鉛補給の新選択肢 亜鉛は必要。でも、どのように補うのが理想的なのか? 

この問いに対して、近年、競走馬の飼養現場において、シモンコライト(Simonkolleite)が、新たな選択肢として注目を集めつつ あります。 

シモンコライトは、亜鉛、水酸基及び塩素から構成される塩化水酸 

化亜鉛水和物(化学式:Zn5(OH)8Cl2∙(H2O)n)で、天然由来の鉱物です。水及び有機溶媒に不溶の白色の六角板状結晶であり、結晶は、層状複水酸化物構造を有しています。そして、その層状構造により、様々な分野において応用可能な機能性素材とし ての特性を有しています。 

●アメリカでの使用例 

シモンコライトの結晶

米国の飼料企業 Advantage Edge Nutrition LLC では、競走馬用の亜鉛サプリメントに、シモンコ ライトを「Smart Minerals」として採用しています。 

シモンコライトは、胃酸下で徐々に亜鉛を溶出し始め、小腸で効率的に吸収され、従来の硫酸亜鉛より も高い生体利用率が期待されています。また、飼料中に混和しても安定性が高く、他の栄養成分との反 応も起こしにくいため、サプリメント設計の柔軟性にも優れています。 

● 理想的な亜鉛供給メカニズム 

「Smart Minerals」とは、強い共有結合と独特の結晶構造により、一般的な飼料混合物の pH では 遊離金属イオンが放出されるのを防ぎ、馬の胃の通常の酸性環境に達した後にミネラルを徐々に放出 し、適切なタイミングで小腸から吸収されるという“徐放性”を持つミネラルです。 

この「Smart Minerals」としての特性を持つシモンコライトは、消化器負担が少なく、生体利用能も高い とされていて、従来の無機亜鉛剤とは一線を画す、持続性のある亜鉛補給が可能です。 特に競走馬のように繊細な消化管を持ち、環境変化やストレスによる消化吸収のブレが生じやすい動物 にとっては、「急がず、緩やかに、確実に」亜鉛を届けることができるこの特性が大きなアドバンテージになり ます。 

● 馬以外の動物での使用 

欧州では、EFSA(欧州食品安全機関)によって、シモンコライトはすべての動物種に使用できる飼料 添加物として認可されています。家畜やペットなど幅広い動物に応用されており、安全性と有効性が高く 評価されています。 

● シモンコライトの安全性 

安全性に関しても、数多くの実験で高い信頼性が示されています。 

EFSA の FEEDAP パネルは、シモンコライトを含む製品(例:IntelliBond Z)が対象動物種(犬、 猫、子豚、雌豚、鶏、ウサギ、魚類、子牛など)に安全であることを評価しています。 以下の点が科学的根拠として示されています: 

使用上限量(亜鉛 120~200 mg/kg 飼料)において、対象動物種にも消費者にも安全 (ユーザーへの安全性として)皮膚への刺激はなく、眼に対してのみ一部注意が必要 つまり、シモンコライトは、既存の認可された亜鉛源と同等に安全であり、科学的に評価され、その効果と 安全性が確認されたサプリメント素材と言えます。 

総括:亜鉛補給の常識が変わる可能性 

従来、亜鉛の補給といえば、硫酸亜鉛などが主流で、特に競走馬の現場においては、「亜鉛は補給され ても、汗や尿からの排出により減少する」、「従来の無機亜鉛剤では飼料中の他の栄養素(銅、カドミウ ム、カルシウム、鉄など)の存在により生物学的利用能が低下し吸収されにくい」という問題に、悩まされ てきました。 

一方、シモンコライトは、胃の酸性環境でミネラルを徐々に放出し、適切なタイミングで、小腸での吸収を 可能にすることで、持続的かつ効率的な亜鉛の吸収を可能にする新しい選択肢となっています。これに より、急激なミネラル負荷が少なく、より「やさしく」作用することが示唆されます。 とりわけ、消化器系が敏感で、ストレスや環境変化に左右されやすい競走馬にとっては、徐放性かつ安 全な亜鉛源の選択は、もはや贅沢ではなく必須の選択肢とも言えるでしょう。これからの馬の栄養設計に は、単なる補給量だけでなく、「どう届けるか」の視点が求められています。シモンコライトは、その問いに応えるための有力な解答となりうるのです。 

実際の導入には、獣医師や栄養士に相談して最適な食事やサプリメント計画を決定することが不可欠 ですが、シモンコライトは、亜鉛補給の未来を変える存在と言えます。 

【シモンコライトに関する参考資料】 

Qu, S.; Hadjittofis, E.; Malaret, F.; Hallett, J.; Smith, R.; Campbell, K.S. Nanoscale Adv., 2023, DOI:10.1039/D3NA00108C 

Advantage Edge の WEB サイト(https://www.advantageedge.com/science behind-advantage-edge/smart-minerals/) 

EFSA FEEDAP Panel, Bampidis, V.; Azimonti, G.; Bastos, M.L.; Christensen, H.; Dusemund, B.; Durjava, M.; Kouba, M.; Lopez-Alonso, M.; Lopez Puente, S.; Marcon, F.; Mayo, B.; Pachova, A.; Petkova, M.; Ramos, F.; Villa, R.E.; Woutersen, R.; Bories, G.; Gropp, J.; Galobart, J.; Holczknecht, O.; Innocenti, M.L.; Ortuno, J.; Pizzo, F.; Rossi, B.; Tarres-Call, J.; Vettori, M.V.; Radovnikovic, A. EFSA Journal 2023;21(12), e8458 

EFSA FEEDAP Panel EFSA Journal 2012;10(5), 2672

馬にとっての“安全”とは何か? 

──「効く」だけでは不十分、真の機能性素材に求められる条件 

健康管理や栄養補助を考える上で、「効果があること」はもちろん重要です。しかし、特にサラブレッドにお いては、それ以上に重視されるのが「安全性」であり、これは「副作用がないこと」そして「長期的に害がな いこと」を意味します。 

これは単なる衛生意識ではありません。サラブレッドという動物の「生物的な特性」そのものが、非常に繊 細で、外的要因に大きく左右されやすいからです。 

● サラブレッドは“敏感な生き物” 

サラブレッドは、その優れた運動能力を引き出すために、代謝プロセスに関与する微量ミネラルを適切に摂 取できるように飼育管理されています。しかし、わずかな環境の変化(飼料、環境、管理、季節、場所 など)や成分の違いが、馬のパフォーマンスや健康状態に大きく影響を及ぼす可能性もあります。 飼料中の亜鉛の過剰摂取は下痢や疝痛(腹痛)を引き起こす 

新しいサプリメントによって食欲が落ちる 

亜鉛の欠乏症は皮膚病変や被毛の異常を引き起こす 

これらの現象を回避し、馬の健康とパフォーマンスを維持するためには、栄養素の慎重な監視と食事のバ ランスが重要です。そのため、「効果があるか」という点だけでなく、「副作用がないこと」「長期的に害がない こと」といった「安全性」が非常に重視されます。 

● 代謝に負担をかけない「非毒性」と「安定性」 

「安全な素材」と聞くと、一般的には毒性の有無だけが注目されがちです。しかし、馬においては、次のような複合的な意味での“安全”が求められます: 

1. 急性毒性・慢性毒性がないこと 

2. 内臓(特に腎臓・肝臓)への代謝負担が少ないこと 

3. 長期間使っても蓄積性がないこと 

4. 他の栄養素・薬剤との相互作用が起きにくいこと 

たとえば、無機塩である硫酸亜鉛は、投与量によっては胃腸に刺激を与えたり、銅の吸収を阻害したりす る副作用が知られています。一方、シモンコライトはその結晶構造自体が緩やかに亜鉛を放出し、体内に 穏やかに吸収される性質を持つため、急激な血中濃度の変動が起こりにくいという点でも高く評価されて います。 

● 馬自身の“感じ方”まで考える 

安全性を語る上で、見逃せないもう一つの視点は、「馬がどう感じているか?」という点です。 ニオイは気にならないか? 

味に違和感を覚えていないか? 

舌触りや口当たりに拒否反応を示していないか? 

投与後、落ち着きを失ったりしていないか? 

サラブレッドを含む馬は、様々なストレス要因に反応して血清亜鉛レベルが低下することが報告されていま す。これは馬がストレスに敏感であることを示唆しています。亜鉛欠乏や過剰摂取は食欲不振や胃腸の 不調、臓器損傷、いらつき、攻撃性、活動性の低下などを引き起こす可能性があり、これにより飼料摂 取に影響が出たり、調教中の不安定さにつながったりすることが考えられます。 

● 総括:パフォーマンスの前に、安全がある 

競走馬の健康と競走能力を支える素材には、「効く」だけでなく、「馬にやさしい」ことが求められます。 長く使えること 

急に効きすぎないこと 

ほかの栄養素とケンカしないこと 

馬がストレスを感じないこと 

これらすべてをクリアしてはじめて、高い品質と実用性を兼ね備えた「本当に使える素材」だと言えるので す。 

「Smart Minerals」としての特性を持つシモンコライトは、その点において、高い安全性と穏やかな作用 を兼ね備えた、“馬のための機能性ミネラル”だと言えるでしょう。

今後の展望:亜鉛補給は、パフォーマンス向上と健康維持の要

──「走る」だけではない、“持続可能な馬の健康管理”へ 

サラブレッドは、単に速く走るための動物ではありません。高い代謝力と筋肉量、敏感な神経系、そして長 時間にわたる負荷に耐える持久力と回復力を持つ「総合アスリート」だと言えます。 そのすべてを支えているのが、「栄養」です。中でも、微量でありながら体の無数の機能を調整する“亜鉛” という元素は、競走馬における最も重要な栄養素の一つとして、再評価が進んでいます。 今後、亜鉛の補給は単なる「栄養補助」にとどまらず、“パフォーマンスと健康を両立させる鍵”として位置 づけられるでしょう。 

● スピード、持久力、回復力──すべてに関わる「見えない要素」 

亜鉛は、筋肉の収縮に関わるカルシウムチャンネルや、エネルギー代謝に関わる酵素(アルコールデヒドロ ゲナーゼなど)を活性化する重要な役割を担っています。 

そのため、次のようなパフォーマンス指標においても、血中亜鉛濃度が低下していると、明確な悪影響が 出ると報告されています: 

トレーニング後の筋疲労回復が遅れる 

蹄の変形・割れによってパフォーマンスにムラが出る 

微細な炎症が治りにくく、調教の継続性が損なわれる 

逆に言えば、体内の亜鉛濃度を適正に維持できれば、より一貫性のある走り・調子・気性が保てるという わけです。

● 繰り返される「疲労」と「回復」を支える存在 

競走馬は、トレーニングと休息を繰り返すサイクルの中でコンディションを整えています。このサイクルの中 で、「疲労からどれだけ早く回復できるか」は成績に直結する大きなファクターです。 トレーニング後の筋肉修復 

損傷した細胞膜の再生 

酸化ストレスの除去 

これらすべてに、亜鉛が関わっています。特に、亜鉛は“回復を早める栄養素”として注目されています。 馬においても今後、「ただ走る」のではなく「走り続けられる体をどう作るか」が重要になってくる中で、亜鉛 はそのベースを支えると考えられています。 

● 長期的な健康寿命を見据えた栄養戦略へ 

現代の競馬は、1 レース 1 勝では終わりません。複数年にわたって安定した結果を求められ、引退後も 繁殖馬として活躍できる健全な体作りが求められます。 

そのため、今後の栄養管理には次のような“長期視点での安全性と有効性”が必要とされます: 慢性的な消化器トラブルを予防する 

免疫力を底上げして感染症を防ぐ 

神経機能のバランスを保つ 

被毛の質の劣化を遅らせる 

亜鉛はこうした“非パフォーマンス系の機能”を静かに支えています。馬の「全体的な健康とパフォーマンス」 に不可欠であり、蹄の健康、健康な被毛、免疫機能、および全体的な代謝機能を維持する亜鉛の役 割は、「長く走り続けるための礎」となっていくでしょう。 

● シモンコライトと亜鉛の未来 

このような中で、シモンコライトは、「Smart Minerals」として自然界に存在し、通常の飼料混合物の pH では遊離金属イオンが放出されるのを防ぐ独自の結晶構造を持ち、馬の胃の通常の酸性環境に到 達した後に徐々にミネラルを放出するため、今後の亜鉛補給の中核的素材として期待されています。 なぜなら、以下のような点で“未来の栄養戦略”と合致しているからです: 

持続的に吸収される:馬の胃に到達した後にミネラルを徐々に放出し、小腸での吸収に適した タイミングで利用可能になる 

急激な血中濃度上昇がない:血中亜鉛濃度は栄養因子や健康状態の影響をほとんど受け ず、代謝調節されている 

副作用が起きにくい:亜鉛の毒性は過剰摂取によって引き起こされる 

経口でも外用でも使える:飼料添加物としては経口で補給されるが、創傷治癒のための外用 も含めて、多目的に応用できる柔軟性を持つ 

将来的には、データに基づいた個体別の亜鉛補給設計や、競走スケジュールに応じたタイミング投与な ど、より戦略的な運用も可能になると見込まれています。

総括:亜鉛を制する者が、健康を制す 

かつて「ビタミン C の時代」「鉄分の時代」があったように、今、競走馬の世界にも「亜鉛の時代」が訪れよ うとしています。 

パフォーマンスの安定、健康寿命の延長、再生力の強化──これらすべての要素に、亜鉛という小さな 元素が関わっている事実は、もはや見逃すことができません。 

その中で、シモンコライトという新しい鉱物由来の素材が、自然で、やさしく、確実に効く“次世代の亜鉛 補給法”として注目されているのは、まったく不思議ではないのです。

まとめ:最高の馬に、最高のミネラルを

──“走る才能”を支えるのは、“見えない土台”である 

サラブレッドは、生まれながらにして走るために設計された特別な存在です。 

しかし、たとえ素晴らしい血統と調教師に恵まれていても、それだけで勝てるわけではありません。 速く、強く、長く走るためには、日々の飼養と栄養管理こそが最も重要です。特に、馬体の見えない部分 ──代謝、免疫、筋肉回復、神経の安定といった「内なる働き」を支える栄養素の役割は、これまで以 上に注目されるべき段階に来ています。 

その中でも、亜鉛は“縁の下の力持ち”として、今あらためてスポットライトを浴びています。 

● 亜鉛──小さな元素が、大きな違いを生む 

本稿でご紹介してきたように、亜鉛はわずかしか体内に存在しないにもかかわらず、以下のような極めて広 範な生理作用に関わっています: 

筋肉・皮膚・蹄の構造維持 

酵素やホルモンの活性化 

免疫系の維持と抗酸化防御 

創傷治癒と細胞再生 

精神の安定やストレス耐性の向上 

つまり、「走る・跳ねる・回復する・治す」すべての基本を支えているのが、亜鉛という元素なのです。 そしてこの“ベースの栄養”をしっかり満たしてあげることが、安定したトレーニング・パフォーマンスの持続・長 期的な健康維持に直結します。

● そして、シモンコライトという“進化した亜鉛補給法” 

亜鉛の重要性が認識される一方で、実際の補給にはさまざまな課題がつきまといます。吸収率、副作 用、コスト、嗜好性、ドーピングリスク……。 

こうした課題に対し、シモンコライトは機能性を備えた次世代型ミネラル素材として明確な答えを提示し ています。 

徐放性(ゆっくりと溶けて作用する) 

毒性の低さ(毒性リスクを軽減) 

無臭・無味で使いやすい 

皮膚にも使える応用性の広さ 

天然鉱物ゆえの安心感 

これらすべてが揃ってはじめて、「日常的に、安全に、効果的に使えるミネラル素材」と言えるのです。 

● “予防”と“継続”が、勝利の鍵を握る時代へ 

競走馬の栄養管理は、かつてのように「異常が出たら補う」という対症療法的な考え方から、「問題が起 こる前に、整えておく」という予防栄養の時代へと移行しています。 

蹄が割れてからでは遅い 

皮膚炎がひどくなってから治すのは非効率 

筋力が低下してからの修復は難しい 

嗜眠や過敏性が表出してからではリスクが高い 

こうした考え方において、シモンコライトのようなゆっくりと溶けて作用する、徐放性のあるミネラル素材の 存在は、今後ますます重要になります。 

■ 最高の馬に、最高のミネラルを。 

シモンコライトは、新しいタイプのミネラルであり、市場での普及度もまだ低いかもしれません。 しかし、それは過去にビタミン C や DHA やグルコサミンが辿ってきた道でもあります。 数年後、「馬にとっての亜鉛補給の常識」が塗り替わっているとしたら―― 

その中心にあるのは、この「シモンコライト」かもしれません。 

亜鉛の効果とは?多く含む食べ物や亜鉛不足のサイン・摂取時の注意点を解説

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